東京・小石川の銘店、モリッツ・グロスマン ブティック訪問。
こんにちは。Doiです。
今回は、先日訪れたモリッツ・グロスマン ブティックを紹介したいと思います。
実際、お邪魔するのは2回目となったわけですが、某大学・時計愛好家サークルの“夏合宿”のスケジュールの一部に同行させていただく事となり、今回の機会を得たという次第です。
先ずは軽く紹介を。
モリッツ・グロスマンは2008年に創業した、グラスヒュッテに本拠地を置く時計専門ブランドです。19世紀に活躍した時計師「モリッツ・グロスマン氏」による時計づくりに倣い、伝統を重んじた誠実で堅牢な設計を持つ作品を生み出しています。価格帯は高額だが、極限まで磨き込まれた部品を堪能することができます。代表モデルはべヌー、アトゥムなど。
さて、訪れるのは約半年ぶりとなるモリッツ・グロスマン ブティックですが、銀座でも表参道でもなく、文京区 小石川の閑静な住宅街にあります。
小石川5丁目交差点の大通りから、桜並木が長く続く播磨坂をしばらく降りていけば、それは見えてきます。今回は地獄のような真夏日でしたが、桜が満開の時期は美しい情景も一緒に楽しむことができますね。
ブティックへ入ると、時計店としては非常に珍しい建物の構造であることに気づくでしょう。
それもそのはず、ここは元々印刷工場だったのです。なんとも開放的で広々とした空間が広がる店内には、モリッツ・グロスマンのコレクションの数々や洗練された家具、アート作品、モニュメント等が置かれています。
その中でも注目したいのがこちら。なんとドイツの印刷機メーカー、ハイデルベルグ社製の活版印刷機です。この機種は1960年代ものと推定します。
ブティック入り口から見て右側の、少し奥まったスペースにそれは鎮座しています。かつてこの場所が印刷工場であったことを、感覚的に思い出させてくれるような、荘厳な雰囲気を感じました。
驚くべきことにこの機械、実は動くんです。大きな音を立てて複雑な動作をする姿は圧巻の一言!(Twitterに動画を載せてます)
そしてもう一つ、こちらもドイツのクロックメーカー、レンツキルヒ社製の大型柱時計です。
今から100年以上前に作られたものを修理・最適化して、現在でも高精度で動作するようにしたのだそうです。
ゆっくりと動く振り子の運動は、なんとも趣を感じますね。
続いては腕時計です。
今回見せていただいたのは、アトゥム・パワーリザーブです。
アトゥムのモデルでも様々な種類がありますが、これは1本の細いバーの中に2色で残量を表示するタイプのパワーリザーブ機能が付いているモデルです。
モリッツグリスマンの時計の特徴の一つとしてあげられるのは、やはり針の美しさでしょう。類稀な職人の手作業で針の立体的な成形や鏡面仕上げ、そして青焼きが行われます。
この時計の針をよく見ると青ではなく紫色です。これは青焼きする際の金属の表面温度の違いにあります。これがとても難しい…。
(実際に作業をするとわかるのですが)薄茶色→茶色→紫色→青色→水色…と温度上昇につれて金属表面の色が変化していくのですが、紫色になっている時間は青色の時に比べて非常に短いのです。
わずかなポイントなのですが、ここから職人の技を垣間見ることができます。
外装はもちろんですが、ムーブメントも一切手を抜かない仕上げが魅力です。
ロービートで動くグロスマン製の大径のテンプや、ジャーマンシルバー製の3分の2プレート、角穴車に施された3段のサンバースト仕上げ等々…
時計を買うとセットで付属している手持ちルーペでじっくりと観察すると、新たな魅力を発見できるかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。知れば知るほど、見れば見るほど面白い時計だと思います。
私も将来的に欲しい(!)時計の一つとして目標にしているブランドでもあります。
今年発表されたばかりの「コーナーストーン」など、新作にも注目していきたいですね。
最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。次回はイベントレポートになるかな(?)
Doi