【時計レビュー】ボヴェ 19Thirty
本ブログ恒例の時計レビュー。というか最近はレビューばかりになっている気がする…。
今回のテーマはボヴェ。
度々お世話になっているボヴェブティック銀座様にご協力いただき、私が好きな時計を独断と偏見でご紹介。
さて、ボヴェというブランド自体は私が時計に興味を持った割と初めの方から認知していた。というのも私の“入り口”は複雑系であったため、コレクションの大半を複雑時計が占めるボヴェの存在感は私の中では大きかった。機構の複雑さはもちろん、独創的なコンセプトやデザインが刺さってしまった事も、それに拍車をかけている。
懐中時計全盛期の時代にルーツを持つボヴェは、現行モデルにもその雰囲気が息づく。
そして今回ご紹介するモデルも、ボヴェならではのこだわりが詰まった1本だ。
19thirty(ナインティーサーティー)は、ボヴェのコレクションの中では比較的オーソドックスなモデル。
必要最低限の機能を揃えたロングパワーリザーブの専用ムーブメントが、懐中時計らしいシルエットを象った薄型のSS製ケースに収められた、シンプルで非常に美しい時計。
この時計のデザインは、とことん私の好みのど真ん中を突いてくるのだ。
特にオフセットされて重なり合った文字盤。ヘアライン加工が施され鮮やかなブルーで彩られた盤面は、見る角度や照明によって様々な変化を遂げる。
その文字盤はムーブメントにネジ留めされているが、文字盤側からでもムーブメントの仕上げを堪能できるのも素晴らしい。スモールセコンドを中心に、難易度の高いとされる円状のコート・ド・ジュネーブ仕上げが、この時計の美しさを際立たせている。
3時位置と9時位置には半円の窪みがあり、あまり目立たないが3時位置にはパワーリザーブ表示が。欲を言えば9時位置の方にも何か機能があってもいい気がするが、シンメトリーのデザイン性を優先すべきなのだろうか。
続いてはケース。
ボヴェの代名詞と言えば、この懐中時計をそのまま腕時計化させたような形状。リューズは12時位置に配置され、ベルトが付けられた太めの弓環が特徴的。この弓環は腕にフィットするように動いてくれる。
上位モデルにはここのベルトと6時位置のパーツを外して懐中時計にする事ができるものが存在するが、これは“腕”オンリーらしい。
このケースが思っていたよりもかなり薄い。全面がポリッシュ仕上げで曲面で構成されている薄型ケースは上品そのもの。
そしてムーブメント。
このモデルのために設計された、Cal.15BM04という機械が入っている。専用設計だけあって、ケースに対して目一杯詰まっているところがいかにも高級機らしい。
近年のボヴェの自社製キャリバーに共通するのは、巻き味が軽いのと同時にロングパワーリザーブである事。この機械も例外ではなく、シングルバレルでありながら7日間ものパワーリザーブを誇る。
仕上げも申し分ない。文字盤側と共通だが、スモールセコンドに繋がる4番車の穴石を中心に円状のコート・ド・ジュネーブが施されている。
最後にリストショット。スーツとの相性は抜群だ。
42mmというケース直径だけを見るとやや大きい気がするが、実際に腕に乗せてみるとそうは感じない。幅が狭く丸みを帯びたベゼルの効果もあるのだろう。
薄めの上質なアリゲーターストラップは、ラグではなく弓環に直接付けられているお陰で、腕が細くてもフィット感が損なわれない。
私のように腕が細い人が大きい時計を着ける際に起こってしまうのが、ラグが腕からはみ出して見た目的に不格好になるという事案。ボヴェの懐中時計のようなケースではその心配がないのである。
また、厚さは9.05mmと薄いためスーツのシャツにも収まる。
とにかく私の好みを詰め込んだような理想的な時計である19thirty。高価なものだけあって今すぐにとはいかないが、将来的に手に入れたい時計のひとつだ。
ここまで写真や文章で紹介してきたが、本物の質感や雰囲気はどうしても伝えることが難しい。東京近辺の方は、是非とも銀座ブティックでボヴェのコレクションや世界観を堪能してほしい。
こう見えて入りやすい(小声
【モデル詳細】
Ref.NTS0001
ケース:ステンレススチール製 直径42mm、厚さ9.05mm 3気圧防水
ガラス:サファイアクリスタル
ムーブメント:Cal.15BM04 手巻き 21,600振動 7日間パワーリザーブ
機能:時・分・秒・パワーリザーブインジケーター
ストラップ:アリゲーターレザー
尾錠:ピンバックル
価格:2,400,000円(税別)
【ボヴェブティック銀座】
東京都中央区5丁目7番6号 i liv 1F(すずらん通り側入り口)
TEL:03-6264-5665
詳しい情報はボヴェ公式サイト https://www.bovet.com をご覧下さい。