DOI WATCH BLOG

腕時計と私の日常

カルティエ・アート文字盤の作り手。

こんにちは。少し久しぶりの更新となります、Doiです。

 

私は先日、現在も六本木の国立新美術館で開催されている“カルティエ・時の結晶展”に行ってまいりました。ダイヤモンドを散りばめた煌びやかなジュエリーやミステリークロック、歴代の腕時計が数多くディスプレイされていました。個人的にとても満足できる展示だったので、会期中にもう一度は足を運ぼうと思っています。

 

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そして、その会場からほど近く、東京ミッドタウンの敷地内にある「21_21 Design Sight」という美術ギャラリーで先週までひっそりと開催されていた展示会がありました。その名も“カルティエが魅せる職人技展”。こちらでは完成された作品だけではなく、それを生み出す職人の姿にフォーカスを当てた展示の仕様になっていました。

 

決して広くはない会場には、カルティエに所属する職人2名の作業デスクが配置されており、それを囲むようにジュエリーの材料となる原石や道具等が壁面にディスプレイされていました。

 

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そのカルティエのメティエ・ダール(芸術的職人技)を支えている職人の一人がこちらの方。

 

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彼はグリプティック職人です。グリプティックとは宝石を彫刻する技法のことです。原石から様々な形状に削り出し、素材に生き生きとした表情を与えます。

そのモチーフは様々で、自然からインスピレーションを得た作品が多く見受けられます。

 

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続いてはこちらの方。

 

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彼はストローマルケトリ職人です。

「ストローマルケトリ」は時計の文字盤やジュエリーボックスの装飾に用いられる技法で、元々はアジア圏で発達したものだそうです。それがいつしかヨーロッパまでもたらされ、ラグジュアリーメゾンの間でも知られるようになったのだとか。

 

驚くべきことに、この技法を得意とする職人は、カルティエにはたった1人しかいないのだそうです!

 

主な材料は藁の茎の部分。ストローのような筒状になっているので、それをナイフで裂いて板状にしたものを成形し、パズルのように貼り合わせていく、というのが主な作業工程です。

 

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なかなかお目にかかれないであろう、文字盤の製作図面です。三角形で形成されたアーティスティックなパンテール(豹)を描くのは、無数のパーツ群。これを全て寸法通りに成形して貼り合わせるというのは至難の職人技です。

1枚の文字盤の制作期間は約2週間を費やすのだそうで、まるで気が遠くなるような作業です。

 

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完成した文字盤です。こちらはライオンの横顔を描いた作品。自然が生み出す素材だけが作り出せる独特の光沢のある質感が、非常に美しいですね。

 

美術作品の展示会は多々ありますが、このような“作り手”に注目したイベントは少ないので、今回は貴重な機会だったと思います。(個人的に職人さんから“イイ情報”も手に入れました笑。)

 

今回はこれくらいで失礼します。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

 

Doi