【時計レビュー】リップ マッハ2000
本ブログ初となる”時計レビュー”。
いつもは自らで購入した時計を、実際に着けてみてレビューしていたのだが、今回はひと味違う。
事の経緯は、約3週間前。
なんと、ご紹介させていただくリップの輸入代理店であるDKSHジャパンさんから、レビュー記事執筆のご依頼をいただいたのだ。
私はSNSでの投稿が主で、ブログはより詳しい内容をまとめる場所として運営しているのだが、業界の方に見ていただいているのは、とても喜ばしいことである。
ニッチな内容かつ開設から1年も経過していない個人ブログなので大変恐縮ではあったのだが、ありがたく承諾した。
お借りした時計はメンズモデルのマッハ2000と、2色のラリーだ。なお後者は別途レビュー記事を綴る。
さて、今回のテーマであるリップというブランドについて説明を。
主なラインナップのデザインや価格帯、販売店などをうかがう限り、若年層向けのファッションウォッチというイメージを持つかもしれないが、実は非常に長い歴史を持つ時計ブランドなのだ。
リップは、1867年にフランス東部の街・ブザンソンで創業した。
創業者であるエマニュエル・イザーク・リップマン氏は、時計部品を販売する家系に生まれ、設立した工場を大きく発展させた。
シンプルな3針やクロノグラフに加え、ニーズに応えて発光するダイヤルやデザイナーを招いた特殊なモデルなどを製作し、フランスを代表するブランドになったのだ。
エマニュエル氏の孫であるフレッド氏が、1952年に世界初の電池で動く腕時計を開発し、同年のパリ科学アカデミーで発表したことで、大きな評判を呼んだそう。
また、かつての偉人たちとの関係も深く、皇帝ナポレオンやイギリスのチャーチル首相、アメリカのクリントン大統領などに時計を贈呈したという輝かしい実績もある。
そして1975年、今回ご紹介する時計”マッハ2000”が生まれる。
フランスの高速鉄道・TGVの車両のデザインを手がけたことで有名な、ロジェ・タロン氏によってデザインされた。
「西暦2000年代でも色あせない時計を作りたかった」と語ったそうで、現在のリップのコレクションにおけるアイコン的存在だ。
私もリップを知るきっかけになったのがこの時計で、購入を検討したこともしばしば...
それでは実際に時計をじっくり見ていこう。
1度見たら忘れることはないほど、この時計のデザインは個性にあふれている。
左右非対称のケースや3色のプッシュボタンなどが目を惹くが、似た時計が他に存在しないというのは珍しいことだ。
人間工学や流体力学に基づいてデザインされたというこの形状。
決して高級時計ではないが、ディティールを注視すると仕上がりに抜かりはないことが分かる。
唯一無二のフォルム。“D型”と言えばいいだろうか。PVDコーティングが施されているので引き締まった印象で、表・裏ともにヘアライン仕上げの面が光の反射で様々な表情を魅せる。また、全ての角には面取りが施されているが、ここは鏡面なので他面とのコントラストが美しい。
大きく窪んだ文字盤には、非常に細かい目盛りが刻まれている。しかし決して視認性が損なわれることはない。不思議とデザインの一部として目に馴染んでくるという印象だ。
モノトーンな文字盤に唯一配された鮮やかなイエローは、スモールセコンドとクロノグラフ秒針にのみペイントされている。より細かい情報を示す針は、静かに存在感を放っている。
搭載されるムーブメントは機械式だったが、現行品ではミヨタ製のクォーツに置き換えられている。
続いてケースバック。
裏蓋にはリップのロゴと鷲の紋章が刻印されている。ヘアラインが入ったケースなので、ここだけ鏡面だと全体的な質感が損なわれると同時に、個人的には少し違和感を覚えた。
ケースサイドのプッシュボタン。
棒の先端に球体がついている形は、まるでアーケードゲーム機のコントロールレバーにようにも見える。
デザインの独自性と共に操作性も兼ね備える。腕に着けた状態でもボタンが非常に押しやすいのだ。
それぞれのアクセントカラーが、ブラック主体のケースに映える。
ベルトはラバーだが、メッシュブレスやレザーなども選べるそう。
面白いのが通常は細い“つく棒”がとても幅広なところ。
ベルト側の穴も、それに合わせて幅広。写真のように穴の周りがすり鉢状になっているおかげで“つく棒”が入れやすいという工夫も見てとれる。
最後にリストショット。
ケースは縦40mm、横42mmと一見大きく見えがちな数値だが、腕が細い細い私の腕にも非常に良く馴染む。ラグではなく直接ケースにベルトが固定されているおかげでもあるだろう。
視認性が良いと感じるのは、ベルト位置に対して文字盤がわずかに“自分寄り”だからだろうか。前述した様にプッシュボタンが押しやすい点も含め、総じて実用性に富んだ仕上がりとなっている。
アイコニックな外観はカジュアルなファッションにも合わせやすく、時計好きはもちろんファッショニスタにも勧めることができる1本だろう。
マッハ2000にはいくつかラインナップがある。クロノグラフの色違いやデジタル表示版、レディース向けの3針タイプなど案外数も多い。機会があれば店頭でチェックしてみたい。
【詳細】
リップ マッハ2000 ブラックラバー
商品番号:LP670080
ケース:ステンレススチール ミネラルガラス風防 42 mm×40mm 厚み10mm 5気圧防水
文字盤:ブラック デイト表示 クロノグラフ機能
ムーブメント :ミヨタ製クォーツ
ストラップ:ラバー
価格:70000円(税抜)
お問い合わせ:LIP公式オンラインストア https://www.lipwatch.jp/sp/
【時計購入レビュー】タグ・ホイヤー コネクテッド
毎度恒例の時計購入レビューだが、今回は一味違う。
私が手に入れたのは、タグホイヤーのスマートウォッチ“コネクテッド 46”だ。
スマートウォッチといえば誰もが知るアップル社のApple Watch が最も有名で、圧倒的な世界シェアを誇っている。腕時計本体に通信機能を搭載しており、スマートフォンと連携し、ビジネスやライフスタイルにおいて様々な手助けをしてくれる便利なアイテムだ。
アップルを筆頭に、サムスン、ファーウェイ、エイスースなどのIT企業がひしめき合うスマートウォッチ界に、初めて“腕時計ブランド”として参入したのがタグホイヤーなのだ。
それに続くようにウブロやルイ・ヴィトン、モンブランなどが続々と新作を発表しているものだから、これからも盛り上がりを見せることは必至だろう。
さて、今回購入した“コネクテッド46”は同社が2015年に発表した初のスマートウォッチであり、価格が17万円と非常に高額だ。
(流石にウェアラブル端末に10万円以上かける勇気がなかったので、中古品でよりリーズナブルな美品を探し当てることに成功した...)
しかし高額なだけの価値はある。
Wear OS (旧Android wear)の端末としては、初めてインテル社のデュアルコアプロセッサ(Atom)を搭載しており、ストレージは4GB、RAMは1GB。スマートフォンとはBluetoothと常時接続でき、Wi-Fiも利用できるので、アプリによっては時計単体での使用も可能。
サファイアクリスタルでコーティングされた1.5インチ円形ディスプレイは、360×360ピクセルと鮮やかで高画質なため、一見アナログな文字盤に見えることも。
本体には加速度センサーと傾きセンサーを備える。エクササイズ等には大いに役立つが、GPSと心拍センサーが無いのはマイナスポイント。
バッテリーは410mAhなので連続25時間程度は使える。四六時中使っているわけではないので2〜3日は充電しないで済むだろう。
電子機器なので心配になるのは防水性・防塵性だが、IP67に対応しているおかげで雨や汗はもちろん、万が一水中に浸けてしまっても問題ない。
では実際に本体を見ていこう。
ケースはグレード2チタンと樹脂でできているので非常に軽い。
カレラシリーズからインスパイアされたケースデザインは一目でタグホイヤーだと分かる。他と違ってスマートウォッチらしくないところがカッコいい。正直デザインで選んだ(笑)。
ケースバックにはタグホイヤーとインテルのロゴが隣り合っているのが面白い。
この端末の物理ボタンは(回せない)リューズのみ。スマートフォンのホームボタンと同様、電源やメニュー表示、Googleアシスタントなどを起動できる。
左側面の小さな穴はマイク。OK,Google!と話しかけると(無言で)答えてくれる。これが結構便利で、ウォーキング等の際に天気や道順を知るのに役立つ。
バックルもチタン製。ラバーベルトとの相性も抜群だ。自由な位置で固定できるのも便利。
バッテリーチャージは専用の充電器を用いる。
電源が切れた状態から2時間ほどで満タンになる。充電中の画面には残り時間が表示されるのがありがたい。
そしてこの時計の最大の魅力が、文字盤を自由にカスタムできることだ。
タグホイヤー・スタジオというアプリでスマートフォンと連携し、文字盤や針、インデックス、カレンダー車などの色を自由に組み合わせ、好きなデザインを楽しめるのだ。
このホイヤー01の他にもシンプルな3針やGMT、アンバサダーとのコラボデザインなどが選べる。
クロノグラフ(1〜3カウンターまで選択可能)に関しては、ディスプレイをタップして実際に計測できるのが地味に凄い。
全部で約4000通りもあるというから驚きだ。しかも順次アップデートによりバリエーションも増えていくそう。
リストショット。
はっきり言って直径46mm・厚さ12.8mmはデカい(笑)。この後に発表された一回り小さいモジュラー45でも、腕が細い自分にとっては少々大きい。
しかし、ケースがチタン・樹脂製であるおかげで全くそのサイズを感じさせない。総重量は52グラムだ。
この時計を買ってから、ウォーキングをするのが楽しくなった。自分が好きな時計が、自分の体調管理をしてくれるのは、なんとなく新鮮だ。
運動の時もちょっとしたお出かけにも、カッコよく役立ってくれるだろう。
コロナが終息したらブティックに行って、ラバーベルトをブルーに交換してもらおう。
無数の星を描く。
今回は、新しい自作文字盤をご紹介。
私はこれまで多くの文字盤を製作してきたが、その中でも気に入っているものが星空を描いたブルースチール素材のものである。
簡単に工程を説明すると、鉄板の表面を鏡面に磨いて高温で焼き、ハンドドリルで無数の星を描く、というものだ。
それぞれの工程において、常に仕上げの質を向上させるように心がけているのだが、今回は星空をよりリアルに描いた。
天の川の無数の星を、ハンドドリルを使って手作業でひとつひとつ描く作業はとても大変だ。
キズミを着け、複数の太さのドリルを使い分けて、より空の奥行き感を表現した。
完成。
今回この文字盤を組み込んだ時計はクォーツの2針だ。
薄型で直径38mmのケースなので、腕が細い私にとっても非常に着けやすい。
光の色や当たる角度によって様々な表情を魅せるのも、ブルースチールの面白いところだ。
一切の無駄がない、極めてシンプルかつアーティスティックな1本に仕上がった。
[こちらの時計もオーダー製作できます。お問い合わせはTwitterのDMにて承ります。]
【時計購入レビュー】アーミン・シュトローム マニュアル・ウォーター
今回は、本ブログ恒例の時計購入レビュー。
全世界を恐怖の渦に陥れているコロナウイルス(COVID-19)の影響で、ここ2ヶ月以上様々な活動が制限されている苦しい状況だ。
しかし私はそんな中、この恐怖と不安を一瞬で吹き飛ばしてくれるような、人生で最高の時計と出会ってしまったのだ。もちろん、家にいながらの状態で。
それが、アーミンシュトロームのマニュアル・ウォーターである。時計に興味を持って間もない頃から憧れていたブランドの時計を手にした喜びは、今までに体感したことのないものだった。
ここで、アーミンシュトロームについて軽く説明しておく。同社は1967年に設立された比較的新しいブランドで、ムーブメントのスケルトン加工を得意としたウォッチメーカーであるアーミン・シュトローム氏によって生まれた。
1980年代から本格的に内部の機構を魅せる時計を製作し続け、1991年に製作したレディース腕時計は「最も小さいスケルトンウォッチ」としてギネス記録を樹立した。
その後、新たにオーナーとなったサージュ・ミシェル氏と、ディレクターのクロード・グライスラー氏の手によって、2008年に自社工房が設立された。そこから開発力が桁違いに強化され、数多くの自社ムーブメントが製作できるようになった。
毎年のように新しい仕組みを機械に取り入れ、マイクロローターやトゥールビヨン 、ミニッツリピーター、特殊なレゾナンスなどの複雑機構を製品化している。今後も目が離せない独立系ブランドである。
そんなアーミンシュトロームとの直接的な最初の出会いは2年前の春頃だったと記憶している。私が上京して間もない頃、とある時計店で同社の時計が一堂に集まり、新作の発表を行うというイベントに出席した時のこと。
オーナーからブランドの歴史や新作の紹介などのプレゼンを聞き、直接時計に触れていくうちに、私は一気に魅了されてしまったのだ。
それから約2年後に手にしているとは、当時は全く思いもしなかっただろう。その歳月と過程には感慨深いものがある。
さて、前置きが長くなってしまったが時計の紹介に移りたいと思う。
今回購入したのはマニュアル・ウォーターというモデル。100本限定で製作され、同社のラインナップの中ではエントリー機という立ち位置で、手巻きの3針というシンプルなスペックである。しかし、そのシンプルな構造の中にもアーミンシュトロームの哲学が詰まっている時計なのだ。
まずはこの時計の顔から見ていこう。正面からだと分かりやすいが、時分針とダイヤルがオフセンターに配置されているという珍しいデザインだ。3時位置にブランドロゴのプレートがネジ留めされ、9時位置にはスモールセコンドがある。時分針には夜光塗料が塗布されているため、実用性も鑑みている事が分かる。
アーミンシュトロームの時計は文字盤に覆われたモデルが存在しない。その理由は、ムーブメントを時計のデザインの一部として取り入れるという同氏の考え方があるからだ。マニュアル・ウォーターでは文字盤の中心部を大きく開口させ、美しく仕上げられたムーブメントを露出させている。表面は円状のコート・ド・ジュネーブ仕上げが施されており、文字が彫られた香箱や針合わせ輪列の動きを眺める事ができる。
ケースは43.4mmとかなり大型だ。
文字盤側から裏蓋にかけてすり鉢状になっていたり、6時位置に特徴的な突起がついているなど、一目でアーミンシュトロームだと分かる形状。
続いてはケースバック。言うまでもなく“裏スケ”である。
マニュアル・ウォーターに搭載されている機械ははAMW 11という完全自社製ムーブメントだ。高級機にふさわしい仕上げが随所に見られる。
調速機は両持ちの受けによって支えられている。この受けは2本の細い柱が立っている構造なのは、チラネジが付いたテンプの動きをより可視化し、際立たせるためだと考えられる。
写真だと少し見えづらいが、ヒゲ持ちはフリースプラングで巻き上げヒゲが採用されている。
この時点でテンションが上がる。
輪列受けはテンプを囲むように円状にデザインされているのが面白い。
モデル名にもあるように、ブリッジには波と水飛沫がエングレービングされている。しかも各所の面取りの幅が広いうえに丸みもある。シャープな戻り角をキズミで見たときには、思わずため息が溢れてしまった。
限界まで拡大して撮影。驚いたのは、それぞれの増速輪列の歯車のスポークにも面取りされている所だ。
ムーブメントの各所に手作業の温かみを感じ取れるのも、アーミンシュトロームを愛してやまない理由のひとつである。
ムーブメントに写真のようなメダリオンがネジ留めされているのも特徴。ここにはロゴやモデル・ムーブメント名、シリアルナンバーが刻印されている。この個体は33番目に製作された事が分かる。所有者だけに与えられた特別なバッジのようにも思える。
両開き式のDバックルのつくりも非常に重厚で、大きいながらも適度な装着感を与えてくれる。閉じる際のパチっという感触が気持ちいい。
リストショット。43.4mmのデカ厚ケースは、腕が細い私にとってオーバーサイズなのは言うまでもない。しかし、このサイズ感だからこそのアーミンシュトロームらしい雰囲気と存在感を確立させている。
また、嬉しいことに純正のラバーベルトが付属している。アリゲーター製のベルトが非常に分厚いつくりをしている反面、こちらに付け替えるとスポーティな印象にガラッと変わり、着け心地が一気に軽くなったように感じた。これからは暑い季節なので、しばらくはラバーのままで。
【総評】
私がずっと憧れてきたアーミンシュトロームの時計を手にしたときの喜びは、これまでの人生で味わったことのないものだった。段ボールが届き、ボックスを開け、時計と対面した瞬間の高揚感は、何と表現すればよいだろうか…。
同社のコレクションの中ではエントリークラスである本機。複雑機構を積んだ数千万円のモデルも数多くある中で、価格は100万円台後半でシンプルな3針だ。
しかしこの時計は、アーミンシュトロームが一切の妥協をせず、誠実なウォッチメイキングを行なっている事を体現していると感じた。
氏の機械式時計への情熱と信念に、私はこれからも虜にされ続けるのだろう。
【詳細】
アーミンシュトローム マニュアル・ウォーター(Ref.ST11-MW.05)
ケース:直径43.4mm ステンレススチール
防水:5気圧
ムーブメント:自社製手巻きムーブメントAMW11 (5日間パワーリザーブ)
表示:時、分、スモールセコンド
ストラップ:アリゲーター、ラバー
限定数:100本
価格:165万円(税込)
神戸に想いを寄せて...
おおよそ2ヶ月前に製作した、横浜・みなとみらいの夜景を描いた自作腕時計“Yokohama Midnight”。
ありがたい事に、これまでにないほど多くのオーダーをいただいた。先週の帰省から帰ってきてからはほとんど家に篭り、現在もオーダー品の製作に没頭している。
その中で、購入者様の希望通りにデザインを行う、カスタムオーダー製作を行った。
今作では神戸の夜景を描いた。
ポートタワーやメリケンパークホテル、観覧車、そして六甲山が連なる。
...そして時計は購入者様の手もとに渡った。
直接お会いして手渡しすると、購入者様の喜ばれる顔を見ることができる。それは、製作者である私にとっての最高の喜びでもあるのだ。
神戸は中学時代に1回だけ旅行で訪れたことがあり、港の風景や雰囲気がとても好きな街だ。
厄介事が去ったら、もう一度行きたいと思った。
【オーダーについて】
現在も自作腕時計のオーダーを受付中です。
ご興味のある方はTwitterかinstagramのアカウント(Doi watch blog)のDMでメッセージをお送りください。
【時計購入レビュー】スウォッチ ビッグボールド ジェリー
ネットニュースで見かけて、ちょっと前から密かに気になってた時計を買ってしまった。それがスウォッチのビッグボールド・ジェリーだ。
スウォッチは、時計愛好家のみならずファッション好きにも圧倒的な人気と知名度を誇るブランド。
同社が創業した1983年に発売されて人気を博したという、透明なケースや文字盤が特徴的な名作「ジェリーフィッシュ」(クラゲの意)を、最旬コレクションであるビッグボールドシリーズに再解釈して新登場したのが、このビッグボールド・ジェリーなのだ。
オリジナルと比較すると分かりやすいが、見事なまでにそのデザインの意匠は引き継がれている。
ビッグボールドという名前の通り、この時計はとても大きい。直径47mmなのだが、ケースがクリアなプラスチック素材であるため非常に軽く、カーブした一体型のラグが手首にフィットしてくれる。
極限までシースルーなこの時計。まさに“クラゲ”の名にふさわしい。
赤・黄・青の3本の針が綺麗に映える。
もちろんケースバックも透明。クォーツムーブメントの動きを眺めることは容易だ。
ラグにかけて大きくなるという椀形のケースが特徴。またリューズが2時位置にあるため、手首に当たりにくくするという、さりげない気配りもお見事。
シリコン製のラバーベルトも、爽快感溢れる半透明だ。バックルはアルミ製なのでチープさを感じさせない。
透明すぎるが故にこんな楽しみ方も。
光にかざして眺めると、まるでレントゲン写真のように見える。
最後にリストショット。
前述したようなラグの形状やラバーベルトの角度など、大きいからこその装着感への計算されたこだわりが伺える。
腕が細い自分にとって、45mmを超える時計で装着感がいい時計なんて無かったのだが(笑)、これは確実に例外と言える。
清々しいほどに透明なビッグボールド・ジェリー。腕が露出する機会が多い蒸し暑い夏に、少しでも爽快感を与えてくれるだろう。
【スウォッチ ビッグボールド・ジェリー】
ムーブメント :クォーツ
防水性能:3気圧防水
ケース:直径47mm プラスチック製
ストラップ:半透明色シリコンベルト
価格:12000円(税抜き)
【時計購入レビュー】ソーティス リブラ
今回は当ブログ恒例の時計購入レビュー。いつものようにネットの海を徘徊していると出逢ってしまったのが、ソーティスのリブラだ。
まずソーティスというブランドについて説明する必要がある。
ソーティス(Sothis)はドイツ人のデザイナー、ウォルフガング・スタインクルーガー氏によって立ち上げたれた時計ブランドだ。
ソーティスとはシリウス星を意味し、そこから様々な啓示やインスピレーションを受けるという利念を捧げて、時計作りを行っている。
彼の創造する時計は、随所にこだわりとオリジナリティが溢れていることが分かる。メカや文字盤には、さりげなく星や天体をイメージさせるデザインがあしらわれている。
今回購入したリブラも、そんなソーティスの代表的なモデルだ。
クロノグラフ &デイト表示でありながら、文字盤は非常にシンプル。ホワイトを基調としたラッカー仕上げで艶やかな印象だ。そこにブラックで細かな文字や目盛りが印字されている。インデックスが植えてあるため、程良い立体感もある。
注目したいのは徹底されたケースの造形だ。正面から見ると丸みを帯びた鏡面のベゼルに隠れているが、ケースサイドは写真のように複数本の溝がある形状になっている。この面はサテン仕上げなため、鏡面のベゼルと裏蓋とのコントラストが美しい印象だ。
しかも、ケースサイドの面を際立たせるために4本のラグは別体になっており、内側からネジ留めしているというこだわりようだ。
全体的に、いかにもドイツ時計らしい“質実剛健”なケース形状だが、その中にもソーティスにしか作れない個性が光っている。
もちろん“裏スケ”である。裏蓋には刻印があり、500本限定であるリブラのシリアルナンバーが刻まれている。
ムーブメントはETA 7750系をベースにしているが、その仕上げは一級品だ。コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ、青焼きネジと三拍子揃っている。金色のローターにはソーティスの刻印と星座が描かれていてとても美しい。
こう見えてしっかり夜光もついている。デザインだけでなく実用性という観点でも、この時計の仕上がりは抜かりないと感じるものだ。
最後にリストショット。ケースの直径は42.5mmで厚みは10mmを超える。肉厚の外装に自動巻クロノグラフの機械が詰まっていることもあり、着けてみると結構な重量を感じる。
購入してから2週間ほど使っているが、そのサイズを感じさせない、ライトな印象。腕上で程良い存在感を放ってくれており、とても気に入っている。
もちろん時計としても計器としても秀逸で、実用性に富んでいながらも個性が光る...そんな時計なのだ。
【ソーティス リブラ】
ムーブメント :自動巻 ETA製Cal.7750ベース 直径30mm
毎時28800振動/時 27石 42時間パワーリザーブ
機能:クロノグラフ 日付表示
ケース:ステンレススチール製 直径42.5mm
防水性能:5気圧防水
価格:44万1000円
※500本限定生産