DOI WATCH BLOG

腕時計と私の日常

【時計レビュー】リップ ノーティック・スキー

本ブログ恒例の時計レビュー。

今回は、モンディーンのstop2goに引き続きリップの新しい時計をお借りしてレビューさせていただくことになった。

 

レビューして調べていくうちに最も印象的なのは、リップの時計は“奥深い”という事だ。一見ファッションウォッチのような羽振りでありながら、なかなか愛好家心をくすぐってくるではないか。同社の現行コレクションを見るだけでも分かる通り、モデルの振り幅がとにかく広い。1度見たら忘れられないほどデザインが特徴的なアイコンウォッチから、ヴィンテージの風合いを遺した復刻版など、長い歴史の中で培った技術力と個性が垣間見えるモデルばかりだ。

 

さて、今回ご紹介させていただくのは、複数存在する復刻版のひとつである「ノーティック・スキー」。

2018年に登場した本作。お借りしたのは下の写真の2本だが、コレクションは4色展開だ。しかし、ただ色が異なるだけではなく、そもそも文字盤や針などのデザインが異なるため、全く違う時計と言ってしまってもいいほどだ。

 

f:id:doiwatch:20200709202907j:image

 

復刻版という事は、それに付随した偉大な歴史がある。

ノーティック・スキーは、1967年にフランス国内で開発された初の200m防水性能を備えた機械式時計だったのだ。

ノーティックはフランス語で防水の意。そしてスキーは文字通り雪山を滑り降りる、あのスキーである。フレッド・リップ氏の娘にあたる人物がスキーチームの一員で、スキーの軽快な滑りとスピードに対する情熱を込めたのだそう。

あからさまにダイバーズウォッチなのだが、陸上のスポーツから取った名称をつけたというストーリーも面白い。

彼が「厳しいスポーツ時の環境下でも着用出来る防水時計をつくりたい」という想いで誕生し、1968年にフランスのグルノーブルという街で開催された冬季オリンピックに合わせて販売したらしい。その性能が故、多くのスポーツ選手や探検家が愛用していたという話も聞く。

 

f:id:doiwatch:20200709202843j:image

 

では本体をじっくり観察していこう。

200m防水を確立したダイバーズウォッチとしては非常にこじんまりとした外観だ。


f:id:doiwatch:20200709202836j:image

 

私のダイバーズウォッチのイメージは比較的大きいものが多い印象だが、ケースの直径は38mmで、オリジナルより2mm大きいもののヴィンテージらしい雰囲気は醸し出している。

肉厚のドーム風防は現代らしくサファイアクリスタル製で、オリジナルに増して耐衝撃性が向上したのは喜ばしい事だ。


f:id:doiwatch:20200709202847j:image

 

文字盤の質感は非常に好印象で、ラインナップによってデザインが異なる。オリジナルの雰囲気を再現したマットなブラックも素晴らしいが、私が特に気に入ったのが、鮮やかな青色が目を惹く“トリコロールカラー”だ。高級機さながら、光の強さや見る角度によって異なる表情を楽しめる。青色が好きな私にとっては“刺さる”ものがあった。


f:id:doiwatch:20200709202904j:image

 

ダイバーズウォッチといえば太い回転ベゼルがデザインのアイコンになっているが、ノーティック・スキーでは数少ないインナーベゼルを採用している。

ケース側面には2つのリューズがついており、2時位置のリューズで文字盤の周りにあるインナーベゼルを操作することができる。視認性は確かなもので、実用にも役立ってくれる筈だ。


f:id:doiwatch:20200709202832j:image

 

一方で4時位置のリューズはねじ込み式で、こちらでは時刻合わせを行う。高い防水性を誇る上でねじ込み式は信頼できる要素である。

ただし、ここで言いたいことがひとつ。ケースの直径が38mmに対し、厚みが14mmオーバーというは少々厚すぎやしないだろうか。この時計を手に取った瞬間に抱いた違和感はこれだ。


f:id:doiwatch:20200709202850j:image

 

その要因は裏スケであるが故にすぐに分かる。ムーブメントはミヨタの82系ベースを搭載しているので、機械分の厚みは致し方なしか。裏蓋をソリッドバックにして少しでも厚みを抑え、メカを見せない方が時計全体の雰囲気、使い心地共に向上するのではないか、と我ながら身勝手な提案をしてしまった。


f:id:doiwatch:20200709202855j:image

 

また、ストラップはウレタンとレザーの2種類が付属しているので、季節や用途によって雰囲気を変えられるのは嬉しい。


f:id:doiwatch:20200709202859j:image

 

特にウレタンベルトはつくりが細かく、表面はファブリック素材のような細かな模様とステッチが再現されている。また、全体に穴が開いているお陰で発汗性も兼ねている。時計本体と共にベルトも水分は気になるところだが、ダイバーズウォッチに相応しい素材がお供なら安心だ。

 

f:id:doiwatch:20200709224520j:image

 

最後にリストショット。

38mm径のケースサイズは、私のような腕が細い人にもよく合うのだが、前述したように裏蓋が厚い影響で、どうしても重心位置が高くなってしまっているのを腕上で感じた。それさえ気にならなければ、快適に使える実用時計としての機能は十分だろう。

しかも、このヴィンテージならでは雰囲気が漂うフランスメイドの時計はそう多くはない。リップらしいお洒落なデザインと日常使いに富んだ仕様で、普段の生活でも大いに役立ってくれるシーンも多いはず。

これからの汗ばむ季節に、1本の個性派ダイバーが腕元を飾る夏を、一度体験してみてはいかがだろうか。

 

【詳細】

リップ ノーティック・スキー

品番:

ブルー:LP671503、ブラック:LP671505

ケース:ステンレススチール、直径38mm、サファイアクリスタル風防

文字盤:ブラック/ブルー 夜光付き

ムーブメント :ミヨタ製 自動巻き

ストラップ:ウレタン/レザー 幅18mm

その他:200m防水、インナーベゼル

価格:74,000円+税

 

モデルの詳細はこちらから

https://lipwatch.jp/collections/nautic-ski

 

また詳しい情報は、リップ公式オンラインストア( https://lipwatch.jp/ )をご覧ください。