【時計レビュー】グラハム ソードフィッシュ
前回に引き続き、グラハムの時計をご紹介。
第2回となる今回は、2004年に発表された比較的新しいシリーズである“ソードフィッシュ”。
グラハムの時計は特徴のある印象的な外装デザインから、パッと見ただけで強烈なインパクトを与える。前述のクロノファイターは大きなトリガーが特徴的だったが、ソードフィッシュは同等、いや、それを上回るかもしれない。
ソードフィッシュ(Swordfish)とは英語でメカジキの事であり、この時計の外観が2つの大きな眼をつけたように見える事から名付けられたらしい。同名の英国海軍の潜水艦も存在する。
写真からもお分かりいただけると思うが、3時位置と9時位置に設置されたクロノグラフの積算計の視認性を向上させるため、風防のガラスの上に枠付きの拡大レンズが設置されている。斜めから飛び出した2つのレンズを眺めると、成程これは巨大なメカジキの眼だ、もうそれにしか見えなくなってきた。
こんな大胆さを製品に取り入れるというのは流石グラハムである。間違いなく他に見ないタイプの個性が長けていると思う。ソードフィッシュのデザインは、2001年にアイルランドのアート&デザインナショナルセンターの若年デザイナーを対象にしコンテストを行い、その際に優勝したフィリップ・ハミルトン氏のものを採用したらしい。
視認性向上を謳うレンズだが、欠点というかツッコミどころもある。2つの大きな“眼”はインダイヤルの表示こそ視認性は抜群だが、その他の表示に対しては悪影響を及ぼしている事も忘れてはいけない。
レンズにはそれぞれベゼル同様ステンレスの“枠”が付いており、時・分針とクロノグラフ秒針が枠の下に来るタイミングでは針が隠れてしまい、時刻を正確に読む事はできなくなる。クロノグラフ秒針については文字盤中心に少し隆起した小さなダイヤルがあるが、それでも見づらい事には変わりない。
...というような不満点を述べてはみたが、実際こんな見た目の時計に表示時刻の視認性を求める事自体が間違っているのかもしれない。実用性の中にもデザインで遊び心を取り入れ、ユーモア溢れる“通好み”の時計の創造、というのがグラハムの哲学だったりするからだ。
ケース側面に位置するクロノグラフのプッシャーは、ソードフィッシュのトリガーとは異なり一般的なボタン式だが、押しやすいように先端の形状が工夫されている。
こちらもCal.7750系をカスタムしたムーブメントを搭載しており、裏蓋から綺麗な仕上げを眺める事ができる。グラハムのカスタムムーブは複数存在するが、種類ごとに部品のグレードや仕上げの僅かな違いがあるようだ。受けの穴石や青焼きネジの有無、ローターの形状等の質は価格に比例するのだろうか。
ベルトは専用のラバーストラップが取り付けられている。表面は本物のファブリック素材かのように細かな織り目模様が施されている事に驚いた。
フォールディングバックルはクロノファイターと共通のようだ。
リストショット。
直径46mm、厚さ16mmのケースは超重量級で迫力満点。腕が細い私が着けていると違和感が否めないが、この時計は思い切り目立って、主張してナンボだと思う。
常識から少し逸脱したデザインを楽しみ、着ける人の気分を上げてくれる、個性派な相棒が欲しい人の腕にはピッタリとフィットしてくれるはずだ。
【詳細】
グラハム ソードフィッシュ ブラック/レッド
Ref:2SXAS.B05A.K134F
ケース:ステンレススチール、直径46mm、厚さ16mm
防水性:10気圧防水
ストラップ:ラバー
ムーブメント:自動巻、Cal.G1710、48時間パワーリザーブ、34石、毎時28,800振動
機能:時・分・秒、スモールセコンド、30分・12時間積算クロノグラフ
価格:900,000円(税抜)
より詳しい情報はグラハム公式HP https://graham1695.com をご覧ください。
【時計レビュー】グラハム クロノファイター2モデル
久々の時計レビュー投稿。(毎回久々と書いてるような...)
今回は、リップとモンディーンのレビュー記事執筆の際にもお世話になった、複数の時計ブランドの輸入代理店であるDKSHジャパン様に時計をお借りし、本記事にてご紹介させていただく。
DKSHジャパンが取扱うブランド群はライフスタイルウォッチ、所謂カジュアル系とラグジュアリーウォッチの2つに区分されているが、興味深いのは高級ラインに属するどのブランドも比較的マイナーだという点。レッセンスやローラン・フェリエ、スピークマリン等、知る人ぞ知る名品ばかりだ。
その中でも私が気になっていたのが、今回ご紹介するグラハム。当然ながら一般的な知名度は低く、全国的に取扱店が少ないということもあるが、私が実機を拝見したのは都内の某店で1回のみだった筈。
そんな事もあり、今回はグラハムについて知る事ができる良い機会に恵まれたのだった。
さて、まずはグラハムというブランドについて。
グラハムは、1995年にエリック・ロト氏によってスイスのラ・ショードフォンに設立した。そのブランド名は、かつて数々の発明を遺し、「クロノグラフの父」と称されるイギリス人時計師ジョージ・グラハムに由来する。シリンダー脱進機や水銀補正振り子、更には1/16秒単位で計測が可能なクロノグラフ等の開発を行った英国屈指の時計師だったそうだ。
そんな彼に敬意を表し、展開するコレクションの殆どにクロノグラフが搭載されている。
“新生”グラハムの基幹シリーズである「クロノファイター」はパイロットのために作られ、大きなレバーが目を惹く。一方レーサーに捧げる「シルバーストーン」は耐久性や装着感にこだわり、潜水艦からインスピレーションを得たという「ソードフィッシュ」は、レンズ状の風防がカウンターの視認性を格段に向上させた。
主なシリーズは3つだが、バリエーションが非常に豊富で見飽きることはないほどだ。
そんな数多くのコレクションの中から、今回は代表的なクロノファイターの中で2モデルを抜粋してご紹介。
ビッグデイトと第二時間帯表示を備えた「クロノファイター・ヴィンテージGMT」と...
比較的シンプルでデイデイト表示の「クロノファイター・ヴィンテージ」の2本。
共通するのはグラハムのアイコンとも言える「トリガー」と呼ばれるクロノグラフのプッシュボタンだ。第二次世界大戦中の事だが、爆撃機のパイロットが防寒用に厚い手袋を着用している際でも操作できるように考案されたのだそう。
リューズがケースの左に位置し、スタート/ストップボタンがリューズと同軸でリセットボタンが10時位置なのが特徴的。
トリガーの重厚感とは似つかない、軽快な操作感が何とも癖になる。先端が湾曲しているので指先にもフィットしてくれる。
裏からムーブメントを眺められるのは機械式時計の醍醐味。汎用の機械を独自にカスタムしたという点が興味深い。
よく見ると随所に汎用との変更点が見られる。特にクロノグラフ操作系の穴石類を高品質化されているようだ。
時計の顔となる文字盤の質感にも注目したい。2本共にグリーンダイヤルなのだが、発色が全く異なる。通常のヴィンテージは均一なのに対し、GMTはグラデーションを利かせた“今風”な仕上がり。
塗料の細かな粒が散りばめられた点はカタログ画像と異なるが、これは仕様なのだろうか。しかしヴィンテージ感があって個人的には推したい。他にもカラーバリエーションがあるので、機会があれば見比べてみたい。
グラハム専用のフォールディングバックルの仕上がりも申し分なし。
リストショット。
双方とも直径44mmで、サイズも重量もなかなかのものだが、普段から40mmクラスの時計を着用している私にとっては、特段大きずぎるとは感じなかった。
唯一気になったのは、腕を振った時に片巻式のローターが勢い良く回転してしまう事。こればかりは7750系を載せた時計の宿命か。
ケース左側面を占める巨大なトリガーだが、左腕に着ければ邪魔になってしまいそうという心配は無用。むしろ右手の親指で操作する際はこちらの方が都合がいい。着用中にリューズを動かすことは殆ど無いから、左リューズって意外と便利なのかもしれない。
グラハムの時計レビューは第二部へ続く...
【モデル詳細】
・クロノファイター ヴィンテージ GMT
Ref:2CVBC.G01A.L141F
ケース:ステンレススチール、直径44mm、厚さ15mm
防水性:10気圧防水
ストラップ:カーフ
ムーブメント:自動巻、Cal.G1733、48時間パワーリザーブ、28石、毎時28,800振動
機能:時・分・秒、スモールセコンド、ビッグデイト、30分積算クロノグラフ、GMT
価格:890,000円(税別)
・クロノファイター ヴィンテージ
Ref:2CVAS.G02A.L137F
ケース:ステンレススチール、直径44mm、厚さ13mm
防水性:10気圧防水
ストラップ:カーフ
ムーブメント:自動巻、Cal.G1747、48時間パワーリザーブ、28石、毎時28,800振動
機能:時・分・秒、スモールセコンド、デイデイト、30分積算クロノグラフ
価格:675,000円(税別)
詳細はグラハムの公式ホームページ
https://graham1695.com までアクセス。
生き物のような曲線美。Hモーザー ストリームライナー
発表されるや否やネット上で話題となったHモーザーが定案する新しいラグジュアリースポーツ、ストリームライナー。記憶に新しい今年の1月、同軸フライバッククロノグラフ機構を備えた第一弾の発表から約半年、3針自動巻という如何にも愛好家に刺さりそうな仕様で登場したのが“センターセコンド”である。
惹かれたと言えば私も例外ではなく、SNSや情報サイトを隈なく漁った。他に類を見ない曲線のみで覆われた独創的なケースと、モーザーの象徴とも言えるグリーンフュメの文字盤との組み合わせがなんとも新鮮だった。
今回は、そのストリームライナー・センターセコンドの実機を一目見るべく、銀座のNX ONEへ足を運んだ。
こちらが見せていただいた実機。国内で見ることができるのはとても貴重で、今後は正規店を巡礼するのだとか。
やはり写真で見た通り独特な雰囲気を放っている。ケース全ての面が曲線で覆われており、腕時計と言うよりかはアート作品に近い印象。目の細かいヘアライン加工と鏡面仕上げとのコントラストが絶妙で、決して主張することなくモーザー ならではの感性が各所に生きている。
特に注目したのがブレスレットの造形。ケースと一体型になっており、僅かに中央が膨らんでいる。手で持ってベルトを波打たせると、まるでアルマジロの鱗甲板が畝っているようだ。
リストショット。
ケース径は40mmなので、腕が細い私にとっても控えめな印象。
ケースからベルトにかけての有機的な曲線が、人間の腕との相性が良いのだろう、程よく心地いい吸着感のある付け心地。
最後に私物のオクトとのツーショットを。直線と平面で構成された幾何学的な造形のジェンタデザインとは一線を画すのが対比できて面白い。
そんなわけで私の好みに刺さってしまったストリームライナーだったが、この場で覚悟を決めようとも試みたが、私の懐が許さなかったのであった...。
素晴らしき相棒ーブルガリ オクト ソロテンポ 38mm
これまで2ヶ月近くブログを更新していなかったが、その間には大きな出来事があった。それはもちろん、時計購入という自分にとっての一大イベントだ。
今回購入した時計は、ブルガリのオクト・ソロテンポ38mmである。
前々からこの時計を手に入れる日を夢見ていた。
私とオクトの出会いは3年ほど前の事だっただろうか。私が上京する前に地元・福岡のブルガリブティックで、オクトの41mmと38mmを試着させていただいたのを覚えている。当時の印象は、他の時計には無い特別な雰囲気を放っており、吸い付くような装着感も新鮮だった。
そして何よりもデザインに惚れ込んだ。名称の通り8角形を随所に取り入れ、110面にも及ぶ複雑なケースやベルトの形状は、ダイヤモンドの如く多方向に光を反射して眩しいくらいだった。光源の色彩や強弱によって全く異なる表情を魅せた。
それから時が経ち、インターホンの音とともに自室に届いた時は、正直現実味が無かったかもしれない。
箱を開けてベルトのコマを調整し、自身の腕に着けた時、ようやくオクトが生涯の相棒になったという実感が湧いた。
外装の仕上げ、とりわけ文字盤とケースの美しすぎるフィニッシュには虜にされた。
多層ラッカー仕上げの文字盤は全く歪みが無く均一平坦で、非常に深く吸い込まれるような黒だ。デイト表示の窓のエッジが綺麗に立っているのは、ラッカーを重ねた後に切り抜いているから、と某雑誌で読んだ覚えがある。
アラビア数字とバーインデックスのデザインはブルガリ・ブルガリから継承されている。ひとつひとつ丁寧に面取りされ、どの角度から見ても輝いて視認性は抜群に良い。
中央がくり抜かれた針の立体的なつくりも良く、秒針が細い所が好み。
110面もの複雑なケースを作り上げたのは、あのジェラルド・ジェンタ氏。当時のオリジナルはかなり大柄で無骨なイメージだったが、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏の再解釈によりサイズダウンされ、全体的に控えめでドレッシーに、かつ上品になったと感じる。
ポリッシュとヘアラインの使い分けは切り立ったエッジをより際立たせ、まるで刃物のように鋭い。
仕上がりはケースの裏まで抜かりない。5角形の特殊なネジで留められた8角形の裏蓋から覗かせるのは、ブルガリの自社製ムーブメントCal.BVL 191、通称ソロテンポムーヴ。
仕上げに関しては価格帯相応という感じで、艶のあるコート・ド・ジュネーブ装飾が美しい。特徴的なのは高級機らしいスイッチングロッカー方式の自動巻機構。受けの上に配されているお陰で、巻き上げの際スライディング・ギアの動作を眺められるのは個人的に好きなポイントだったりする。3点保持のボールベアリングにはセラミックが使われ、注油要らずで巻き上げ効率も良いのだそう。
両持ちのテンプ受けはどこか安心感があり、瞬間日送り機構を備える気遣いは嬉しい。
オクトのデザインは金属ブレスレットありきだと思う。ケースのラグとの境界が絶妙で、ほぼ一体になっているようにも見える。
ケース側の根本からバックルにかけて細くなっていく形状で、これがまた着け心地が抜群に良いのだ。
特に根本の幅が広く腕と接する表面積が広いおかげで腕に載せた際に密着し、重心も低いため吸い付くように安定している。
38mmというサイズがまた良い。
腕周りが15cmほどしかない私の腕にも見事にフィットしてくれる。角ばった形状であるため、体感的には40mmくらいにも見える。
これぞ唯一無二の装着感だ。
オクトを購入して1ヶ月が経過しようとしているが、日常に寄り添う相棒として共に時を刻む、私にとって欠かせない存在になった。
銀座での一枚。
陽が傾いて街が灯り始める時、オクトも色づき表情を変える。
筑波宇宙センターでの一枚。
この日は35℃を超える猛暑日で汗だくになったが、10気圧防水のオクトなら心配は無用。
埼玉県の小川小学校下里分校での一枚。まるで時が止まったような昔懐かしいノスタルジックな風景と、先進性溢れる造形とのギャップが楽しい。広い青空の下ではオクトも青色に。
これから気温が下がり季節が移り変わろうとしているが、袖に見え隠れするオクトも特別な存在感を放ってくれるだろう。
「これからもよろしく。」
【時計レビュー】ボヴェ 19Thirty
本ブログ恒例の時計レビュー。というか最近はレビューばかりになっている気がする…。
今回のテーマはボヴェ。
度々お世話になっているボヴェブティック銀座様にご協力いただき、私が好きな時計を独断と偏見でご紹介。
さて、ボヴェというブランド自体は私が時計に興味を持った割と初めの方から認知していた。というのも私の“入り口”は複雑系であったため、コレクションの大半を複雑時計が占めるボヴェの存在感は私の中では大きかった。機構の複雑さはもちろん、独創的なコンセプトやデザインが刺さってしまった事も、それに拍車をかけている。
懐中時計全盛期の時代にルーツを持つボヴェは、現行モデルにもその雰囲気が息づく。
そして今回ご紹介するモデルも、ボヴェならではのこだわりが詰まった1本だ。
19thirty(ナインティーサーティー)は、ボヴェのコレクションの中では比較的オーソドックスなモデル。
必要最低限の機能を揃えたロングパワーリザーブの専用ムーブメントが、懐中時計らしいシルエットを象った薄型のSS製ケースに収められた、シンプルで非常に美しい時計。
この時計のデザインは、とことん私の好みのど真ん中を突いてくるのだ。
特にオフセットされて重なり合った文字盤。ヘアライン加工が施され鮮やかなブルーで彩られた盤面は、見る角度や照明によって様々な変化を遂げる。
その文字盤はムーブメントにネジ留めされているが、文字盤側からでもムーブメントの仕上げを堪能できるのも素晴らしい。スモールセコンドを中心に、難易度の高いとされる円状のコート・ド・ジュネーブ仕上げが、この時計の美しさを際立たせている。
3時位置と9時位置には半円の窪みがあり、あまり目立たないが3時位置にはパワーリザーブ表示が。欲を言えば9時位置の方にも何か機能があってもいい気がするが、シンメトリーのデザイン性を優先すべきなのだろうか。
続いてはケース。
ボヴェの代名詞と言えば、この懐中時計をそのまま腕時計化させたような形状。リューズは12時位置に配置され、ベルトが付けられた太めの弓環が特徴的。この弓環は腕にフィットするように動いてくれる。
上位モデルにはここのベルトと6時位置のパーツを外して懐中時計にする事ができるものが存在するが、これは“腕”オンリーらしい。
このケースが思っていたよりもかなり薄い。全面がポリッシュ仕上げで曲面で構成されている薄型ケースは上品そのもの。
そしてムーブメント。
このモデルのために設計された、Cal.15BM04という機械が入っている。専用設計だけあって、ケースに対して目一杯詰まっているところがいかにも高級機らしい。
近年のボヴェの自社製キャリバーに共通するのは、巻き味が軽いのと同時にロングパワーリザーブである事。この機械も例外ではなく、シングルバレルでありながら7日間ものパワーリザーブを誇る。
仕上げも申し分ない。文字盤側と共通だが、スモールセコンドに繋がる4番車の穴石を中心に円状のコート・ド・ジュネーブが施されている。
最後にリストショット。スーツとの相性は抜群だ。
42mmというケース直径だけを見るとやや大きい気がするが、実際に腕に乗せてみるとそうは感じない。幅が狭く丸みを帯びたベゼルの効果もあるのだろう。
薄めの上質なアリゲーターストラップは、ラグではなく弓環に直接付けられているお陰で、腕が細くてもフィット感が損なわれない。
私のように腕が細い人が大きい時計を着ける際に起こってしまうのが、ラグが腕からはみ出して見た目的に不格好になるという事案。ボヴェの懐中時計のようなケースではその心配がないのである。
また、厚さは9.05mmと薄いためスーツのシャツにも収まる。
とにかく私の好みを詰め込んだような理想的な時計である19thirty。高価なものだけあって今すぐにとはいかないが、将来的に手に入れたい時計のひとつだ。
ここまで写真や文章で紹介してきたが、本物の質感や雰囲気はどうしても伝えることが難しい。東京近辺の方は、是非とも銀座ブティックでボヴェのコレクションや世界観を堪能してほしい。
こう見えて入りやすい(小声
【モデル詳細】
Ref.NTS0001
ケース:ステンレススチール製 直径42mm、厚さ9.05mm 3気圧防水
ガラス:サファイアクリスタル
ムーブメント:Cal.15BM04 手巻き 21,600振動 7日間パワーリザーブ
機能:時・分・秒・パワーリザーブインジケーター
ストラップ:アリゲーターレザー
尾錠:ピンバックル
価格:2,400,000円(税別)
【ボヴェブティック銀座】
東京都中央区5丁目7番6号 i liv 1F(すずらん通り側入り口)
TEL:03-6264-5665
詳しい情報はボヴェ公式サイト https://www.bovet.com をご覧下さい。
オモシロ時計でちょっと一息。
先日、某フリマアプリを漁っていると、面白い時計を見つけたので買ってみることにした。
価格はなんと送料込みで660円。ネタでもオモチャにしても安すぎやしないか、コレ(笑)。
調べると上海灘(シャンハイタン)という中国の時計らしい。
これは香港の実業家であるデヴィッド・タン氏が1994年に設立したブランドで、いかにも中国らしいデザインのアパレルやインテリア雑貨などを扱っているのだとか。
この類の時計は旅行のお土産として人気があったらしく、CtoCの市場では大量に安値で売り捌かれている。
文字盤には毛沢東が描かれ、常に手を振り続けるという、オートマタとは言えないほど非常にシンプルなギミックなのだが、見ていてなんともコミカルで面白い。
動作歩度や姿勢差はさておき、アンクルの動きを上手く利用している好例だと思う。
毛沢東がどんな人物であったかは、敢えてここでは触れないことにしておく。
内部が気になったのでオーバーホールを行うことにした。
変わった機械が入っているかと言うと、全くそんな事はない。VCTと書かれた非常に低品質な手巻きの3針ムーブメントが顔を出した。
毛沢東の“腕”を外す。常に激しく動いている部品であるため、軽量であることは必至。
針のようなパーツに厚紙が貼られているだけだった。
最も特徴的なのはアンクル。
文字盤側から“腕パーツ”のハカマを差し込むためにアンクル真が通常のものより長く作られている。
それ以外はいたって普通だったのでサクッと分解。からの組み立て。
そして完成。
腕に着けると毛沢東が腕を振り返してくる。街や学校へ着けて行こうものなら、良くも悪くも注目を浴びてしまいそうなほど主張が激しい。...着けないど。
【時計レビュー】リップ マッハ2000 ダイオード
前回に引き続きリップの時計をレビューしていく。クォーツクロノグラフ、機械式自動巻の次はデジタルLEDウォッチだ。バライティ豊かなリップの時計にどんどん魅了されていく。
今回ご紹介するのはこちら。
リップのマッハ2000 ダイオードというモデル。1976年に発売されたオリジナルの復刻版として2018年からオレンジ/シルバーとブルー/ブラックの2種類が発売されている。
オリジナルモデルは当時、時刻表示に発光ダイオードを採用した画期的で最先端の技術を取り入れたものだった。2時位置にあるボタンを押すと2秒間点灯する仕様で、通常のクォーツ時計などに比べて消費電流が大きいのが難点だったらしい。
ユニークなデザインは、本ブログでも一度ご紹介した「マッハ2000クロノグラフ」同様、フランスの産業デザイナーとして著名なロジェ・タロン氏によるもの。デジタル全盛期の現在でも一切古臭さは感じさせない、むしろ新鮮に写るのが不思議なくらいだ。
LEDウォッチの復刻版ということで、オリジナルと全く同じというわけではなく、新しい技術を取り入れたが故に変更されている箇所がある。当時の写真(リップ公式HPに掲載されている)と比較するとすぐに気がつくのだが、デジタル表示の数字が大幅にサイズアップされている点だ。この時計の顔とも言える数字を変えたのは当時の雰囲気を崩す原因になるため、正直残念だと思ってしまった。
しかしオリジナルの存在を気にしなければ、数字のサイズアップはいいこと尽くめで、視認性と明るさが向上し、カラーに縛られることもない。
数字はさておき、外装部分の質感の再現度は極めて高い。
角の取れた正方形のケースのヘアライン仕上げと、面取りされた部分の鏡面仕上げとのコントラストが美しい。端のさりげないリップのロゴは僅かに窪んでおり、そこに塗料が流し込まれている。隅々まで抜かりない仕上がりだ。
最も特徴的なのが、レザーベルトを2分割されたケースで挟み込んでいるという構造。他に見ることのできない形状で、なおさら当時は斬新だったのだろう。
ケースバックは裏蓋の周囲がカーブしているお陰で、フィット感は抜群。
バックルはケースに合わせたカラーで統一されており、エレクトリックのマークがワンポイントになっている。
リストショット。35mm×35mmという“ちょうどいい”サイズ感。厚みや重量も控えめで、柔らかなレザーが心地よく腕に馴染んでくれる。
ユニセックスで気兼ねなく普段使いできるお洒落でデザインで、腕元をお洒落に飾ってくれるアイテムに仕上がっている。
これは時計愛好家だけではなく、ファッションが好きな人にもおすすめできる1本だ。
【詳細】
リップ マッハ2000 ダイオード
品番:
ブルー/ブラック:LP671147
オレンジ/シルバー:LP671148
ケース:ステンレススチール製 35mm×35mm ミネラルガラス風防
ストラップ:本革レザー
機能:時・分・秒、カレンダー
その他:ボタン操作、LED表示
定価:¥35,000(税抜)
モデルの詳細はこちらからhttps://lipwatch.jp/products/lp671147
また詳しい情報はリップ公式オンラインストア https://lipwatch.jp/ をご覧ください。